私の「滋賀一番」 西本梛枝(2) (2015年3月30日)
●日本最古の石積み堰堤…「オランダ堰堤」 (大津市)
「なんてきれいな水!」子どものみならず大人でも思わず水に入っていってしまう。懐かしい ほど優しく透き通った川だ。草津川上流の「オランダ堰堤」の辺り。その昔、平城京を造営する ための木材は湖南アルプスと呼ばれている花崗岩のこの辺りの山々から伐り出された。さらに残 った小柴まで燃料として採取されたため、山はすっかり荒れ山に。花崗岩の山は脆く、植生回復 も難しい。木のない山はひと度雨が降れば土砂が流れ出す。流域は水害に苦しみ、草津川が流入 する大川にも土砂が堆積し、水運航路に支障をきたしていた。そこで明治政府が造ったのがこの 堰堤。オランダ人技師デレーケに調査を依頼。田辺義三郎が設計してアーチ形に石積みした堰堤 が誕生したのだ。これを誰言うとなく「オランダ堰堤」と呼ぶようになった。竣工年が資料によ って若干違うが一応、明治19 年着工、22 年竣工ということになっていて、石積み堰堤としては 日本で最古である。 因みに、河川を守るためには治山が重要、ということを改めて肝に銘じたい。