H26/9/9(火) ブライアン・ウィリアムズによる満月写生と宴を開催しました。
日時:2014-9-9(火)18:00~20:00
場所:名神高速道路大津サービスエリア(下り線)
パヴァリエ大津2Fレストラン グリル「逢味」
詳細はこちらをご覧ください。
中井理事によるレポートは こちら からご覧ください。
ブライアン・ウィリアムズ ‐満月写生と宴‐
~大津サービスエリアからの展望~
日時:平成 26 年 9 月 9 日 会場:パヴァリエびわ湖大津(名神大津サービスエリア)
1950 年、両親の赴任先ペルーに生まれ青少年時代をチリや アンデス山脈の大自然の中で過ごした Brian Williams さ んは、帰米後水彩画を始め、1968 年 カリフォルニア大学 で美術専攻、版画、油彩を学んだ後、1972 年 リュックひ とつで来日しました。 1984 年 琵琶湖に魅せられ大津市伊香立の農家を改築して 京都より移り住み、現在に至っています。 「光・空気・静寂」を表現する風景画家の立場から、「景観は環境の健康をバロメーター」を信条に、荒らされていく 自然の保護再生を訴える活動を続けています。
今年の中秋の名月は 9 月 8 日でしたが、満月はこの写生会 の日の 9 月 9 日。またこの日の月は近地点にあるため通常 よりも大きく明るく輝き、スーパームーンと呼ばれていま す。 会場の大津サービスエリア・パヴェリエびわ湖大津の屋上の会場で、ブライアンさんの楽しい語り口とともに、写生 が始まりました。
6 時 12 分、月の出。最初は少し赤みがかっていましたが、 昇るにつれてどんどんと明るく輝き始めます。滑らかな写
生の説明とともに、筆が画用紙の上をすべっていきます。
それとともに、目の前に見える琵琶湖の風景が、本物よりも自然に画用紙の上に描かれていきます。まるで目の前で 魔法が行われていくような感じです。
当日の参加者は約 40 名。目の前に広がる琵琶湖の薄暮の風 景と美しいお月さん、そして気持ちいのいい風と、まさに 気分は最高。
そして、皆さんも筆を持って制作に参加。はじめは少し恐々の人も少しずつ大胆に。街の明かりや木々で画面を埋めていきます。 水彩画で色を重ねることができることが少し不思議でしたが、ブライアンさんの秘伝の「術」に皆さん驚きと納得で した。
そして完成。画板の上横長が作品。パレットもブライアンさんの少し自慢です。
そのあとは、スーパームーンとお別れして、会場を「グリル逢味」に移しての夕食会。料理は「近江牛陶板焼き膳」ですが、いただく前にブライアンさんの少しお話が。でも、これが写生を拝見することと同じくらい大切な時間なのです。(料理もおいしかったで すよ)
いつも琵琶湖を取り巻く環境のことを考え、自然との共生を訴え続けているブライアンさんの、今日のお話は、アラン・セイボリ ー(Allan Savory)氏の説についてでした。 セイボリーは「砂漠を緑地化させ気候変動を逆転させる」ことを 提唱しています。 生態学者のセイボリーは、かつてアフリカで砂漠化を防ぐために4万頭の象を間引く計画に加担したといいます。でもその地域での砂漠化はかえって進行したと。その痛烈な反省から「なぜ」が生まれたのでしょう。砂漠化は世界の草原地帯の3分の2の地域で進んでおり、気候変動と伝統的な放牧民の社会崩壊を引き起こしています。
そして常識は家畜や草食動物が砂漠化を引き起こしていると。そこでセイボリーは荒廃地に家畜を放牧
することにより、緑がよみがえり野生の動物とも共生することを世界の各地で実証していったのです。 これにより、二酸化炭素の問題と食料の問題が解決するとセイボリーは言います。 技術にはしる二酸化炭素の問題や排出権取引などという人間の作為や角ばった人工物を嫌い、自然の姿を愛するブライアンさんにとって、このセイボリーの話はまさに腑に落ちる話なのでしょう。私たちも このセイボリーを紹介するブライアンさんの熱のこもったお話に、熱心に聞きほれてしまいました。
ブライアンさんは自然の力を信じています。ブライアンさんの絵はその自然の美しさをそのまま映し出 そうとしています。美しい作品と人柄に、まさに堪能した一夜でした。