H27/4/29(水・祝日) 2015年度淀川源流域の春を楽しむイベントを行いました。
⇒詳細は こちら、レポートは こちら をご覧ください。
淀川源流域の春を楽しむ―ブナの若葉、ユキツバキの花を訪ねて―
不順な天候が続いていた 4 月でしたが、4 月 29 日の「淀川源流域の春を楽しむ」のイベント開催当日は、朝からすっきりと晴れわたり、絶好の行楽日和となりました。大津駅からバスで出発し、彦根駅で講師の滋賀県立大学の野間直彦先生と彦根から参加の皆さんが合流。一路、中河内に向かいました。バスの中で、野間先生より資料が配布され、本日案内いただく場所や内容についての説明を受けました。中河内は日本でも有数の豪雪地域で、冬には数メートルの雪が積もるとのこと。ユキツバキの他にもザゼンソウやトチノキ、ブナなども見られるそうで、厳しい冬を乗り越えて咲く花や木々の芽吹きに一層期待が高まります。
途中、神田パーキングエリアで休憩し、高速を降りて、北国街道を北へ。石灰岩の採掘跡が残る伊吹山を背にし、右に小谷山、ほどなく左に賤ヶ岳、そして余呉湖が見えてきました。シカの食害を受けている伊吹山の高山植物の現状や、今、通過している所が小谷城や賤ヶ岳の戦いなど歴史に名を刻んだ場所であることなど、中河内に着くまで興味深いお話をたくさん伺いました。余呉湖から中河内までの道沿いには、新緑の中に薄いピンク色の桜の花が咲いているのがあちらこちらに見えます。大津ではソメイヨシノの花の時期はとっくに過ぎていましたが、この辺りでは、アズマヒガンザクラ、ヤマザクラ、カスミザクラなどの桜が咲いているとのことでした。
10 時過ぎに中河内 広嶺神社に到着。バスを降りていきなり目に飛び込んできたのは、神社の大きなケヤキの木でした。拝殿脇にもケヤキがもう 1 本、そして芽吹いたばかりのトチノキも見事でした。現地では滋賀県自然環境保全課の今城克啓さんにも参加いただいて案内をいただきました。
さて、いよいよユキツバキを 求めて散策開始です。林の中に分け入ると、足元にはニリンソウ、ヤマエンゴサク、タチツボスミレ、キクザキイチゲ、ネコノメソウなどの花に加えてザゼンソウが。どの花も可憐で、参加された皆さんもひっきりなしにカメラのシャッターを切っておられました。 次は待ちに待ったユキツバキの観察です。日本ではヤブツバキとユキツバキの2種類のツバキが自生しており、中河内の地域はこの 2 種類の分布の境目にあたることから、両方の性質を持ったユキバタツバキというツバキが多く見られるそうで、多くのツバキは、ユキツバキに限りなく近い性質を持ちつつも、やはりユキバタツバキであろうとのお話でした。花びらのつき方や雄蕊のつき方、葉柄の毛の有無など、観察のポイントを教わりましたが、判別は難しそうです。雪の重みで葉っぱが折り曲げられているツバキがたくさんありましたが、それでも見事に美しい花を咲かせており、植物の生命力のすごさを実感しました。
神社でそれぞれ持参された昼食を取っていただき、しばらく休憩した後、さらに場所を移してツバキの観察を続け、栃ノ木峠へ移動。ここにも見事なトチノキがあり、谷間には雪が残っていました。栃ノ木峠は分水嶺となっていて、日本海側へ流れる板取川と、もう一方は高時川から姉川に合流して、びわ湖からやがて淀川となることから、近くに「淀川の源」の碑が立っています。びわ湖を単に湖としてだけ捉えるのではなく、淀川までもを含めたびわ湖流水域として捉えるべきであるとの説明をいただきました。また、県北部のトチノキの巨木群が伐採の危機に瀕している現状についても説明いただき、如何にして自然を守っていくか、ひとりひとりが関心を持ち、考え、行動することが大事であることを改めて学びました。
その後、野間先生が実践されている焼畑の場所へも案内いただき、里山の林や藪、茅場などを利用・再生されている現場を見せていただきました。そして、最後に椿坂峠に立ち寄り、再びツバキの観察。オオルリやクロツグミなどの鳴き声も楽しめ、湖北の春を存分に堪能しました。余呉湖で休憩を取った後、彦根駅で野間先生とここで降りられる参加者の方々とお別れし、渋滞に巻き込まれることなく、大津駅に無事到着。解散、終了となりました。
(澤理事 記)